銀座に出向いた際に、かつての勤務先である清水建設の建設現場を通り過ぎたのですが、清水建設のロゴや社名フォント、そして仮設のブルーシートなどを見た瞬間、ある感情が湧き上がってきました。
それが単に「清水建設は、かつて勤めた企業だから懐かしい」という感情だったら、めずらしくも何ともないでしょう。
しかし、自分の感じたそれは、
極端に言えば、一種の愛社精神のようなものでした。
清水建設には新卒で10年勤めましたが、退職したのは、かれこれもう10数年前。
そんな昔のことで、しかも今は自分の設立した法人の代表になっているにも関わらず、いまだ愛社精神のようなものを感じるのは何故なのか。
考えるに、当日の清水建設は、愛社精神を育てるようなものが仕組みとして、下記のようなものを含め、いろいろあった気がします(今もあると思いますが・・・)。
- 社員手帳、ネームプレート、経営計画が書かれた小冊子、毎月配布される社内報
- 同期がいっぱいいるので、自ずから大人数になる同期会
- 労働組合や安全大会など求心力を高めるイベント
- わかりやすいコーポレートアイデンティティ(CI)
- 社員食堂や保養施設などの福利厚生
これらをまとめて、ざっくりいうと、運命共同体的な感情を抱かせるもの、そして、「うちの会社はほんと良い会社なんだよ」というメッセージ。
これらが、多種にわたって用意されていた印象です。そして、このような社内向けのインナーマーケティングが、大企業はずば抜けてうまい気がします。
よく企業ブランドの確立の重要性が語られます。お客様向けの外向けマーケティングの視点で語れることが多いと思います。
しかし、従業員のロイヤリティーを高め、離職率を下げる従業員向けの内向けマーケティング(インナーマーケティング)の視点も、人材難の今日、今後は絶対に必要でしょう。
多くの企業が採用難に苦しむ時代にあって、どのような施策がインナーマーケティングに生かせるか、トップの視点だけでなく、現場の視点も取り入れるべきです。
当社も含め、あらゆる規模の従業員を持つ企業が、内向けマーケティングについても、一度じっくり考える機会を持つべきと考えます。