たまたま目黒駅の周辺を休日ぷらぷら歩いていたときに、見慣れないものを目にしました。
一見ガソリンスタンドのようですが、「水素ステーション」の文字があります。これがいわゆる水素エネルギーの供給スタンドでしょうか。まだ建設中なのかガランとしています。
トヨタの「MIRAI」など水素自動車については、いろいろなところでPRされていて目にする機会も多いのですが、水素ステーションそのものは今回はじめて見ました。
近寄って見て見ると、
確かにガソリンの代わりに水素が提供できることが明瞭にデザインされています。
こちらの水素ステーションは、遠目からもはっきりと「H2」「水素」とわかるようなサイネージがあります。このサイネージのデザインは供給会社が違っても共通なのでしょうか。ともあれとても視覚的にわかりやすいです。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素利用技術研究開発事業」や最近では資源エネルギー庁の「福島新エネ社会構想」などに代表されるように、水素に代表される新エネルギーの普及は国家プロジェクトです。
では水素エネルギーの広報についての課題は何なのでしょうか。
これは一言でいうと、エネルギー関連の業務に関わっている方と、まったく関わっていない方との、意識の大きな隔たりでしょう。
わかりやすくいうと、仕事でエネルギー分野に関わっておらず、車にも乗らない方にとって、現時点ではまだあまり興味関心の対象になっていないことでしょう。
何ごとであれ、まず感心を持ってもらうことが重要です。そのためには水素が活用されている事例や現場を視覚的にはっきりとわかるように伝え、一般市民に水素エネルギーを身近に感じてもらうことが必要と考えます。
水素はいうまでもなく目に見えないものなので、それが使われていることは、はっきりと強調して明示しなければ、誰も気が付きません。
一足飛びに新エネルギーについての理解を深めてもらう啓蒙活動も良いのですが、興味を持ってもらえる方はごく一部かと。何より水素エネルギーとの距離を縮めてもらうことが第一歩です。
この「距離を縮めること」はあらゆる分野における広報・マーケティングにおける最重要キーワードと思います。話しは全く別ジャンルですが、先日のブログで将棋界の事例においての距離を縮まることの重要性のことを書きました。
水素エネルギーの分野で「距離を縮める」ためには、難しいこと無しに、水素を使っている乗り物、水素を製造している装置、水素を提供している施設、水素を普及させている企業・団体、水素を活用している企業・団体に共通したデザインのロゴを与え、市民にその存在を強く意識させることが重要です。
先程の写真で紹介した水素のサイネージは、広報活動というより、水素ステーションを探しているドライバーがその存在を見つけやすくするための広告としての位置づけですが、一般市民に水素エネルギーの存在を知らしめる効果も十分あります。
このようなサイネージやロゴがいたるところで目にするようになれば、われわれ一般市民の水素エネルギーへの意識もちょっとづつ高まっていくのではないでしょうか。
シンプルでわかりやすい水素エネルギー利用を伝えるロゴをいろいろな活用シーンで積極的に使っていくことにより、水素エネルギーを身近に感じてもらい、距離が縮まり、われわれ自身の活用や普及への支援につながっていくと考えます。
冒頭に紹介した水素ステーションの写真にある「H2」の周りに丸が囲んでいるロゴがもしかしたら企業の差が無く使われているロゴなのかも知れませんが、もし未だ未制定であれば、各企業が独自でデザインをする前の早いタイミングで検討する必要があるでしょう。
またその次の展開としては、水素エネルギーを活用することが地球環境だけではなく、個人や企業自体にもメリットがあることを制度として定め普及を推進することではないでしょうか。
家電や住宅などに一部の商品だけに限定されているエコポイントを、広くエネルギー分野まで広めることや、水素エネルギー利用のロゴが認証となり、企業活動や個人においても、何かしらのインセンティブが付与されることなども検討の余地があると考えます。