近年、「オープンイノベーション」という言葉がビジネス界で頻繁に使われるようになりました。企業のビジョンや事業内容の説明だけでなく、ビジネスイベントのタイトルにも登場し、私たちの日常に浸透しています。
今回のブログではその「オープンイノベーション」がわれわれ中小企業にどう関わってくるか記したいと思います。
オープンイノベーションの定義
オープンイノベーションの定義は多岐にわたりますが、一般的には「組織内外の技術やアイデアを活用し、新しい価値を創出すること」とされています。これは、大企業と尖った技術や製品を持つベンチャー企業との協業や、産学官の連携による新しい事業の創出の事例で語られることが多いです。
しかしながらその事例の大半が大企業とベンチャー企業との協業に焦点を当てているのも事実。実際のところ、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の『オープンイノベーション白書』における「国内企業の取り組み事例」を見ても、ほぼ全てが大企業の事例です。
従来の事業を行う中小企業にとっては、真似しにくいと感じると思います。
あるべき中小企業のオープンイノベーション
しかし視点を変えて、他社との協業を通じて新しいノウハウや仕事のすすめ方を学び、経営を新たなステージに引き上げること自体がイノベーションと考えるならば、敷居はぐっと低くなるはず。
この場合のポイントは、協業パートナーへの関わり方です。
足りないリソースを補うための協業という視点はもちろんですが、大切なのは協業パートナーが持つ現場経験や知見、仕事の進め方を通して、自社の経営を変えるという意識を持つことと考えます。
結果、新しい企業の形や事業展開が生まれる、それこそが周囲を巻きこんだオープンイノベーション。積極的な業務提携は人材が流動化している現代においては必須です。経営者の意識変革を通して、企業の新しいステージを切り開いていくことが、中小企業のあるべきオープンイノベーションと考えます。
最後に参考情報としてご紹介なのですが、オープンイノベーションの時代における中小企業の経営者の在り方について書かれた資料として、『日本政策金融公庫 調査月報 No.131』の中の「21世紀の中小企業の経営者像」の章(PDFの16ページ)がとても当を得ていると思ったので宜しければご一読ください。