中小企業のテレワークの導入プロセスについて、前回の記事ではメール環境について書きました。
今回はクラウドストレージについてなのですが、社内にファイルサーバーを置いて運用されている企業でしたら、この機会にDropboxやGoogle ドライブ、Onedriveなどのクラウドストレージに移行することをおすすめします。
リモートワークに対応させるということに加え、ファイルサーバー自体の保守の視点からです。
ハードの保守については、障害発生時にはオンサイトの修理かと思います。
しかし、そもそも新型コロナウィルス緊急事態宣言中も含め、今後、修理のエンジニアが必ず駆けつけてくれるかが危うくなっている状況です。
例え大きな地震が来てオフィスが倒壊しても、仕事で使うデータを守るというBCP視点に加え、
将来、世の中が大きく変わり、従来のようなオフィス自体が不要となる場合にも備え、早いタイミングでクラウドストレージの利用を検討することが良いかと思います。
では中小企業はDropboxやGoogle ドライブ、Onedriveなど多種あるオンラインストレージの中の、どれを選べば良いのでしょうか。
いうまでも無いことですが、どのサービスであれ無料版ではなく必ずビジネス版を選ぶことが重要です。
当社ではDropbox Businessを使用していますが、現時点での簡単な比較をお伝えします。(最新の仕様は各サービスの公式サイトで確認してください。)
特徴 | PC端末との同期が早い(ファイル単位の差分同期機能がある)。Standardプランでも容量は5TB | GSuiteとの連携が良い。G SuiteのプランがBasicだと容量が30GBまで | Microsoft製品との連携が良い。Plan1でも容量は1TB |
当社ではDropbox Businessを使用しているのですが、導入して下記のようなメリットがありました。
- ホームページ制作業務にあたり大量の写真を受けとったりドキュメントを更新することが日常的にある中、制作チームと共用するDropboxのフォルダー内の情報を最新とし一元管理することで、コミュニケーションの行き違いを無くした。
- またお客様ともDropboxのフォルダーを共有することにより、メール添付や外部ストレージを使用することなく大容量のデータのやり取りが可能となった。
- 外出中でもリモートワーク中でも、社内の全フォルダーにアクセスできてお客様対応や制作チームへのディレクションが即座に対応できるようになった。
- また特定のフォルダーのみ同期ができるため、持ち歩きのノートPCには進行中のプロジェクトフォルダーのみ同期をして、ノートPCの容量が節約できるようになった。
- 管理部門のスタッフのみ「総務・会計」系のフォルダーにアクセスさせるなどの、個人の業務に応じたフォルダー共有とアクセス制限が可能となった。
- うっかりファイルを削除しても復元が可能となり、また一定期間の過去バージョンも保存されるので、ファイル単位のバックアップが不要となった。
- 万が一、外出先でノートPCを紛失した際も、リモートでフォルダーを消去できるので安心(まだ使ったことはありませんが)
上記はごく一部ですが、作業効率が大幅に高まりましたことは間違いないです。
なおクラウドストレージ導入の際の注意点をざっと下記にリストアップしますので参考にしてください。
- オンラインストレージに限った話しではないのですが外資のオンラインサービスは管理画面が独特で、またインターフェースに加え仕様もしょっちゅう変わることが多い。
- そのため全社に一度に導入する前に、まず社長(もしくは管理部門責任者)がなどが少人数で使ってみて、自社との相性ならびに仕様を検証する。
- クラウドサービスの技術サポートはいろいろなノウハウを持っており疑問点やトラブルが瞬時に解決できることが多いので、悩んだら早めにサポートに聞く。またテスト導入中にサポートの対応について確認しておく。
- 社内システムがクラウド化を計画しているファイルサーバーと連動している場合は、ファイルサーバーとクラウド間で同期を取るだけでも動作保証外になる場合があるので、社内システムを導入した業者に必ず事前に確認しておく。
- クラウドストレージの管理画面は、管理部門の責任者以外に必ず社長が操作できるようにしておく。(責任者のコロナウィルス罹患や被災による急な業務離脱に備え)
なおオンライン会議の導入については下記をご覧下さい
中小企業のテレワークの導入プロセスについて(オンライン会議編)