先日ネット通販と実店舗が共存することが必要という記事をこのブログで書きました。
今回はその続きで、ECサイトがひしめくこの現代、実店舗をどのように育てていくかがテーマです。
まず何より、ECサイトと比較した実店舗ならではの魅力を把握することが、経営戦略の立案にあたって必須です。
書店を例にとって、ネット書店と比較して実店舗の書店のメリットを利用者視点で挙げるとすると、何なのでしょうか?
いろいろありますが、誰もが共通して次のようなことが考えつくと思います。
1.●思いがけない本と出会うことができる
かつてそのサイトを利用した利用者に、過去の履歴をもとに関連商品を自動表示し推薦するシステムは、Amazonや楽天などのECサイトやコンテンツ広告などですっかりお馴染みです。
いまや珍しくありません。
また検索エンジンやECサイトでの検索も、自分の興味関心のテーマでしか行わないのが通常です。
するとどのようなことがネットで起こるかというと、当然ながら自分の興味関心からまったく外れた分野の書籍をネットで目にする機会がほとんど無くなります。
これがインターネットにおいて気を付けなければならないところで、ネットを使ったあらゆる情報にリーチし情報の幅を広げる機会が、「検索」と「リコメンド」という機能によって、逆に狭くなってしまうのです。
一方、リアルの書店は、店内をぶらぶら歩き、まざまな分野のコーナーを回遊する中で、思いがけない本に出会うことを、われわれは日常経験しています。
「偶然の出会い」・・・これが書店であっても他のサービスであっても、リアル店舗におけるサービスの大きな魅力かと思います。
2.●手にとることができる
「手にとることができる」という魅力は、文字通り実際に手にとって中身をみることができるということだけに留まりません。
中身を見ることだけで言えば、ネットでもそのようなサービスを可能としているところはあります。
「手にとることができる」ということは、立ち読みができるということを超えて、手で触った触感・印象、本のにおい、また書店内でどのような扱いをされているのか・・・平積みなのか、一冊しかない状態なのかを含め、売られている本の幅広い情報を得ることができるということです。
3.●専門スタッフとの会話が楽しい
店員さんがその道の専門家であり、話をするだけで数々の知見を得ることも多々あります。また発信するソーシャルメディアにより人の魅力と店舗の魅力を同時に伝えることができます。
たまに特定のジャンルにマニアックなくらい詳しい店員さんに出会うこともあり、会話も楽しいひと時です。
書店ではなく登山用品店の話ですが、登山コースについての意見交換から、タイプ別の登山靴を教えてもらい、買ったことが直近ありました。これはB2Bの営業においても、売る側のポジションとして参考となる事例かと思います。
以上いろいろ述べてみましたが、社内のスタッフを育てていくことにより、専門スタッフとなり、お客様にモノ以上のサービス・・・コトを超えてヒトを前面に出すことができるようになることが大きなポイントです。
このプロセスは、特に小さい店舗にとってソーシャルメディアと組み合わせると戦いやすく、また結果につながりやすい戦略でしょう。
とにかく人の魅力は影響力が大きく、お客様に大きなインパクトを与えます。「専門スタッフとの会話が楽しい」というのも人の魅力の一つの形の現れで、お客様のリピート訪問に直結します。
「たばこ屋の看板娘」ではありませんが、SNSの時代にあって人の魅力は(そして悪評も)実に拡散しやすい世の中となっています。
あらゆるサービスの基本は「人」という意識を、経営者は強く持つことが求められると考えます。